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醤油の選び方完全ガイド:種類、規格、醸造方法、違いを徹底解説

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はじめに

醤油は日本料理に欠かせない調味料ですが、その種類や選び方を知っていますか?この記事では、醤油の種類、JAS規格、醸造方法、原料、木桶醤油、生醤油、容器による保存方法について詳しく解説します。これを読めば、あなたの料理に最適な醤油が見つかるはずです。

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目次

  1. 醤油の種類による分類
  2. 醤油のJAS規格による分類
  3. 醤油の醸造方法による分類
  4. 原料に使う大豆による分類
  5. 醸造タンクの種類による分類
  6. 加熱殺菌の有無による分類と生醤油
  7. 補足:醤油の容器と保存方法
  8. まとめ

1. 醤油の種類による分類

各種類の醤油は、製造方法に違いがあり、それが風味や色、香りに影響を与えています。以下に、濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込み醤油、白醤油の製造方法の違いを詳しく説明します。

濃口醤油(こいくちしょうゆ)

  • 原料: 大豆(主に脱脂加工大豆)、小麦、塩、水、種麹(麹菌)が基本の原料です。
  • 製造方法:
  1. 麹づくり: 大豆と小麦を蒸し、麹菌を加えて醤油麹を作ります。大豆は主に蒸して使用し、小麦は炒ってから粉砕して使用します。
  2. 仕込み: 醤油麹に塩水を加え、「諸味(もろみ)」と呼ばれる発酵液を作ります。この諸味は、1年以上かけて発酵・熟成されます。
  3. 圧搾: 熟成された諸味を圧搾して醤油を取り出します。
  4. 火入れ: 醤油を加熱して殺菌し、風味を整えます。この過程で色や香りがより強くなります。
  • 特徴:日本で最も広く使われている醤油の一つです。色が濃く、しっかりとしたコクと豊かな旨味が特徴で、煮物や炒め物、刺身のたれなど、さまざまな料理にぴったりです。大豆と小麦を主原料とし、長期間じっくりと発酵させることで生まれる深い風味は、家庭料理からプロの料理まで幅広く支持されています。特に関西地方での普及が進んでおり、日常的な調味料として欠かせない存在です。濃口醤油はその汎用性の高さから、多くの料理の基本となる味わいを提供してくれます。

淡口醤油(うすくちしょうゆ)

  • 原料: 濃口醤油と同じく、大豆、小麦、塩、水、種麹(麹菌)を使用しますが、一般的に煮詰めた塩水や、アルコールを添加して色を抑える工夫がされています。
  • 製造方法:
  1. 麹づくり: 濃口醤油と同様に、大豆と小麦を使って麹を作ります。
  2. 仕込み: 仕込みの段階で、塩分濃度が高い塩水を使用し、色が淡くなるように工夫されます。また、発酵期間も短めです。
  3. 圧搾: 熟成が完了した諸味を圧搾して醤油を取り出します。
  4. 火入れ: 低温で火入れを行い、色を淡く保ちながら風味を整えます。
  • 特徴:色が薄く塩味が際立つ醤油です。主に関西地方で好まれており、素材本来の色や風味を活かした繊細な料理に最適です。例えば、お吸い物や和風ドレッシング、和菓子の味付けなどに使われることが多いです。淡口醤油は塩分が強いため、少量でもしっかりとした味付けが可能で、見た目を美しく保ちながら料理の味を引き立てます。透明感のある色合いは、料理の見た目を損なわずに美しく仕上げるのに役立ちます。

溜醤油(たまりしょうゆ)

  • 原料: 大豆が主原料で、小麦の使用量は少ないか、全く使われないこともあります。
  • 製造方法:
  1. 麹づくり: 大豆を蒸して麹を作ります。小麦をほとんど使用しないため、濃厚な味わいと色が特徴の麹が出来上がります。
  2. 仕込み: 麹に塩水を加えて仕込みを行いますが、発酵過程で得られるエキスが濃厚でとろみがあります。発酵期間は濃口醤油よりも長めです。
  3. 圧搾: 長期間熟成された諸味を圧搾し、濃厚な醤油を取り出します。
  4. 火入れ: 濃厚で甘みのある風味を保つため、適度に火入れが行われます。
  • 特徴:醤油の熟成過程で自然に溜まる液体で、通常の醤油とは一味違った深い風味が特徴です。長期間発酵させることで、濃厚なコクと豊かな旨味が増し、つけだれや煮込み料理に最適です。溜醤油は熟成が進むことで独特の香りと味わいが生まれ、高級な醤油として扱われることが多いです。家庭で特別な料理を作る際や、プロの料理人による創作料理に使用され、その豊かな風味が料理全体を引き立てます。

再仕込み醤油(さいしこみしょうゆ)

  • 原料: 大豆、小麦、種麹(麹菌)が基本ですが、特に製造工程で異なるのは、一度仕込んだ濃口醤油を使用する点です。
  • 製造方法:
  1. 麹づくり: 濃口醤油と同じ方法で麹を作ります。
  2. 再仕込み: 通常の醤油製造では塩水を加えるところを、ここでは一度完成した濃口醤油を加えて再度仕込みます。この再仕込みにより、色が濃く、旨味が非常に強い醤油が作られます。
  3. 熟成・圧搾: 再仕込みされた諸味をさらに発酵・熟成させた後、圧搾して醤油を取り出します。
  4. 火入れ: 再仕込みによる複雑な風味を保つため、低温で火入れを行います。
  • 特徴:一度醤油を作った後にさらに発酵させて作る高品質な醤油です。このプロセスにより、通常の醤油よりもまろやかで深みのある味わいが生まれます。再仕込み醤油は特別な料理や高級料理に用いられ、その複雑な風味が料理の味を一層引き立てます。製造過程に手間と時間がかかるため価格もやや高めですが、その価値は十分にあります。醤油愛好者やプロの料理人に特に支持されており、特別な場面での使用に最適です。

白醤油(しろしょうゆ)

  • 原料: 小麦が主原料で、大豆は少量使用されるか、全く使用しない場合もあります。
  • 製造方法:
  1. 麹づくり: 主に小麦を使って麹を作ります。大豆を使う場合もありますが、その量は非常に少なく、色が白っぽく仕上がるように工夫されています。
  2. 仕込み: 麹に塩水を加えて仕込みを行いますが、発酵期間は短く、温度管理も慎重に行われます。色が淡くなるように低温で発酵させるのが特徴です。
  3. 圧搾: 短期間で発酵した諸味を圧搾し、非常に淡い色の醤油を取り出します。
  4. 火入れ: 低温で火入れを行い、色がさらに淡くなるように仕上げます。
  • 特徴:非常に色が淡く、塩味と甘味が絶妙に調和した醤油です。透明感のある見た目が特徴で、和菓子や繊細な料理に最適です。白醤油は発酵期間が短いため、酵素の働きが早く、甘味が際立ちます。特に関西地方でよく使用され、和食の繊細な味付けにぴったりです。色が薄いため、料理の見た目を損なわずに味を引き立てることができ、和菓子の調味料としても重宝されています。甘さと塩味がバランスよく調和した味わいが特徴で、見た目と味の両方を大切にする料理に最適です。

2. 醤油のJAS規格による分類

醤油のJAS規格(日本農林規格)による分類では、品質に応じて「特級」「上級」「標準」の3つの等級に分けられています。これらの等級は、醤油の味、香り、色、化学的成分(塩分、アミノ酸など)などに基づいて評価されます。以下に、それぞれの等級の違いを説明します。

特級

  • 特徴: JAS規格における最高品質の等級です。香りや味、色合いが非常に優れており、全体的なバランスが取れていることが求められます。
  • 評価基準:
  • 色合い: 澄んでいて美しい色を持つ。
  • 香り: 醤油特有の豊かな香りが強く、嫌味がない。
  • : 旨味が強く、甘味、酸味、苦味がバランス良く調和している。
  • 化学的成分: アミノ酸含有量が高く、塩分濃度も適切に保たれている。
  • 「特選」「超特選」: 特級醤油の中でも更に厳しい基準に合格したものは「特選」「超特選」と表記されています。

上級

  • 特徴: 特級に次ぐ品質で、家庭用や業務用に広く使われています。特級ほどではないが、香り、味、色ともに優れています。
  • 評価基準:
  • 色合い: 澄んでいて、やや濃い色を持つ。
  • 香り: 豊かな香りがあり、強すぎず弱すぎない。
  • : 旨味があり、全体的にバランスが取れている。
  • 化学的成分: アミノ酸含有量は特級より少し低いが、依然として高品質である。

標準

  • 特徴: 上級と比較して、風味や香り、色の面でやや劣るものの、一般的な家庭用や業務用として広く利用されています。価格が比較的安価で、日常的に使用する醤油として適しています。
  • 評価基準:
  • 色合い: 澄んでいるが、やや濃いか、少し濁りがある場合がある。
  • 香り: 香りはあるが、特級や上級と比べるとやや弱い。
  • : 旨味はあるが、特級や上級に比べると弱い。甘味や酸味、苦味のバランスも少し劣ることがある。
  • 化学的成分: アミノ酸含有量は特級や上級より低いが、依然として基準を満たしている。

JAS規格による等級は、醤油の品質を客観的に評価するための指標であり、消費者が醤油を選ぶ際の参考になります。特級は特に高級料理や、風味を大切にしたい場合に適しており、上級は家庭用や飲食店などでの一般的な使用に適しています。標準は価格を重視したいときに適した選択です。

3. 醤油の醸造方法による分類

本醸造: 伝統的な製法で、自然発酵を経て作られます。風味が豊かで香り高いのが特徴です。さらに、「温醸(速醸)」と「天然醸造」に分かれます。
「温醸(速醸)」醤油は、人工的に温度を上げて発酵を速める製法で、短期間(3~6ヶ月)で大量生産され、価格が安い傾向にあります。一方、「天然醸造」醤油は、自然の気候を利用して1年~3年以上かけてゆっくりと発酵・熟成させるため、豊かな風味と深い香りが特徴で、価格が高めです。

混合醸造: 混合醸造の醤油は、アミノ酸液を加えて製造される醤油です。これにより、製造コストが抑えられ、比較的安価で安定した品質を持ちます。九州地方で多く見られます。

混合: 醸造した醤油にうま味調味料やアミノ酸液を加えたもので、こちらも九州地方では一般的です。価格が安価で、日常的に使いやすいです。

4. 原料に使う大豆による分類

丸大豆: 丸大豆は、加工されていないそのままの大豆を使用したもので、醤油に深いコクや豊かな風味を与えます。丸大豆醤油は自然な甘みがあり、栄養価も高く、特に刺身や寿司など、素材の味を引き立てる料理に適しています。製造コストが高いため価格も高めですが、味や風味に優れており、丸大豆を使用した醤油は贈答品としても人気があります。

脱脂加工大豆: 脱脂加工大豆は、醤油製造に使われる大豆から油分を取り除いた原料です。これにより発酵が効率化され、安定した品質の醤油が低コストで生産可能です。脱脂加工大豆を使用した醤油は、風味がやや淡白で、丸大豆醤油に比べると甘みやコクが少ない傾向がありますが、日常使いに適しており、外食産業や加工食品で広く利用されています。

5. 醸造タンクの種類による分類

醤油を醸造する蔵には、ステンレス製やプラスチック製が一般的ですが、伝統的な「木桶醤油」もあります。
木桶醤油は伝統的な木製の桶で醸造された醤油で、深いコクと豊かな風味が特徴です。木桶内で微生物が活発に働くことで、ゆっくりと発酵・熟成し、自然な旨味が生まれます。製造には手間と技術が必要で、希少で高価なため、特に素材の味を引き立てる料理や贈答品として重宝されています。

6. 加熱殺菌の有無による分類生醤油

通常、醤油は「火入れ」という工程で加熱殺菌されますが、「生醤油」はこれを行わず、フィルターでろ過するなど別の方法で微生物を取り除きます。
新鮮な風味が楽しめる醤油で、サラダや冷やっこなど、火を通さない料理に最適です。発酵の香りと旨味が生きており、風味豊かな味わいが特徴です。

7. 補足:醤油の容器と保存方法

醤油の保存性は容器によって大きく異なります。長期間品質を保つためには、適切な容器選びが重要です。
ペットボトルの場合、使っていっても空気と触れにくい密閉性の高い容器が採用されていることがあります。これにより空気を遮断することで酸化を防ぎ、風味を長持ちさせます。少しずつしか使わない場合、そういった容器の醤油かまたは小容量のものを買うことをおすすめします。また、開封後は冷蔵庫で保管するとさらに品質を保てます。
開封後は冷蔵庫で保管し、約半年以内に使い切ることをおすすめします。特に生醤油の場合は、風味を保つために早めの使用が望ましいです。

8.まとめ

醤油の選び方は、種類、品質、醸造方法、原料、製造工程、保存方法など、多くの要素があります。用途や好みに応じて適切な醤油を選ぶことで、料理の風味が格段に向上します。この記事を参考に、あなたの料理に最適な醤油を見つけてください。

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れいん
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こんにちは!調味料の魅力や使い方を深掘りするブログを運営しています。醤油の種類の違いやバターとマーガリンの違い、さらには家庭で本格的な中華料理を作るために揃えておきたい調味料など、料理に欠かせない情報をわかりやすくお届けしています。 このブログでは、調味料の基本から意外と知られていない豆知識まで、幅広いトピックを扱っています。料理をもっと楽しみたい方や、味の違いにこだわりたい方に向けて、実用的で役立つ情報を発信しています。調味料の世界を一緒に探求して、日々の料理をワンランクアップさせてみませんか?
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